「新会社法」とは

「新会社法」とは、2006年5月よりスタートした新しい法律です。
これまで「会社」の法律というのは、商法や有限会社法などバラバラだったのですが、これが「会社法」に一本化されます。
また、中身も現代の経済情勢に合わせたものになっています。  
     
         
     
     
   
    新会社法全体を見ると、次のような4大特徴があります。

  1.条文がカタカナからひらがなへ
  2.起業が簡単になる
  3.M&Aが柔軟になる
  4.合同会社・LLP、会計参与の新設

特に中小企業に関わってくるのが、「2.起業が簡単になる」「4.合同会社・LLP、会計参与の新設」です。

 
       
     
     
   
    新会社法には注目すべき事柄が3つあります。

第1の注目すべき事柄は、なんと言っても「有限会社の廃止」でしょう。

新会社法がスタートしたら、もう新たに有限会社をつくることは不可能になるのです。
「うちは有限会社なんだけど、どうなるんだろう?」と不安に思っておられる方も多いでしょう。
でも、ご安心ください。これまでの「有限会社」が強制的に廃止させられるわけではありません。
ただ、有限会社は今後増えないので、「古い会社だ」と思われる可能性はあります。
「それじゃ困る」と思った方は、簡単に「株式会社」に変更することもできます。しかし、「有限会社ということは古くからある、信頼できる会社だ」と思われる時代も来ると思いますので、よくお考えください。

第2の注目すべき事柄は「資本金は1円でいい」です。

これまで有限会社は300万円、株式会社は1千万円を資本金として設立時に用意しなければなりませんでした。しかし新会社法では株式会社を作る際にも、もうこんな大金を用意する必要はないのです。
2002年から、特別な手続きを経れば「1円会社」を設立することが認められるようになりましたが、これからはその特別な手続きも要らなくなるのです。

第3の注目すべき事柄は「取締役は1人でいい」です。

有限会社はこれまでも取締役が1人でもよかったのですが、株式会社は最低3人の取締役が必要で、さらに取締役全員による集会「取締役会」を最低3ヶ月に1回開かなければなりませんでした。
これが、株式会社でも「取締役1人」がOKになったのです。
取締役が1人なら当然集会なんて開けませんので、「取締役会」も強制設置ではなくなりました(公開会社を除く)。

 
       
     
     
   
    新会社法の4大特徴は以下のとおりでした。
  1.条文がカタカナからひらがなへ
  2.起業が簡単になる
  3.M&Aが柔軟になる
  4.合同会社・LLP、会計参与の新設

「有限会社の廃止」「資本金は1円でいい」「取締役は1人でいい」という3大ビックリは、すべて「2.起業を簡単にする」という特徴に関連することです。
つまり、この新会社法では「起業」に関する法律が大きく変わっているのです。
特にこのあたりを注目して新会社法を見ていきましょう。

会計参与は?

会計参与は、株式会社の規模にかかわらず任意に設置することができる機関であり、計算書類の作成だけではなく会社とは別に計算書類を保存し、株主や債権者に対してこれを開示する義務を負っています。

会社法で新設された会計参与は、取締役と共同して計算書類の作成・開示等を行う会社内部の機関で、税理士・公認会計士等の会計専門家からなります。

また会計参与は、株主の求めがあった場合は株主総会で計算書類の説明をしたり会社とは別にその計算書類を5年間保存して株主や会社債権者に開示し、閲覧請求への対応を行ったりすることも職務とします。

株式会社と持分会社

会社法では設立できる会社の種類を、「株式会社」と「持分会社」と分けています。

会社法施行後は新たに「有限会社」を設立することができなくなり、「株式会社」に一本化されました。
一方、「持分会社」とは、旧商法の「合名会社」「合資会社」に、今回の会社法で新たにつくられた会社形態である「合同会社」を加えた3種類の総称です。

つまり会社法では会社の種類を、株式会社と、持分会社といわれる合名会社、合資会社、合同会社の4種類と定められました(会社法第2条第1号)。


株式会社とは

業務の執行権や議決権は、株式の持ち分に応じて付与され、配当も出資比率に応じて行われるのが原則です。
よって、より多くの出資金を拠出した人(多くの株式を持った人)が、より大きな権限を有するような会社形態です。


持分会社とは

原則、社員全員が業務執行権を有し会社の代表者となります。
業務執行における意思決定も社員の過半数によって行われ、広く定款の自治が認められています。
利益分配についても意思決定の方法など、会社法に違反しない限り自由に定めることができる会社形態です。

株式会社設立のメリット

新会社法施行後の株式会社設立のメリットは次の通りです。


(1)類似商号・目的の調査が不要

類似商号の調査及び目的の調査が軽減されますので、極端な例ですが、自分が思いついた商号と目的ですぐに手続き(定款作成及び認証)できます。
さらに、法務局まで調査に行く必要がありませんから、手間を省くことができます。
但し、有名企業と同じ商号になる場合は、今までと同じように商標権を侵害していないかなどをチェックする必要はあります。



(2)資本金1円の払込みでも設立可能

最低資本金の規制が完全に撤廃されますから、資本金を自由に設定して株式会社を設立することができます。
今後は、サラリーマンの脱サラなど、いわゆる1円起業が相当数出てくると思われます。



(3)資本金の払込証明が、発起人の個人の通帳で可能

発起設立で株式会社を設立する場合は、資本金の額に関係なく発起人の「個人の通帳のコピー」に代表者が証明書を付す形でよくなります。



(4)取締役1名から株式会社の設立が可能

全ての株式に譲渡制限が付いている会社に限ってですが、取締役1名からでも株式会社が設立できるようになります。
株式譲渡制限会社に限るといっても、現在でも株式会社を設立する場合の多くは、全ての株式に譲渡制限がついている株式譲渡制限会社ですから、株式会社を設立したいと思っている人にはメリットになります。

特に金融機関への資本金の払込と、類似商号・目的の調査が無くなったのは大きなメリットと言えるでしょう。

株主資本等変動計算書

従来、決算書(決算報告書)として利益処分案あるいは損失処理案を作成していましたが、新会社法施行後の決算書(決算報告書)では、利益処分案あるいは損失処理案の作成が不要になる代わりに、配当の原資を示す株主資本等変動計算書が新設されました。

これは、配当をいつでもできるように変更されたこと等が主な理由です。

株主資本等変動計算書の主な構成項目は次の通りです。

@従来の利益処分案あるいは損失処理案の項目
A従来の損益計算書[当期純利益]以下の表示項目である[前期繰越利益]から[当期未処分利益]

決算書の「利益処分案」がなくなる

会社法では「利益の処分や損失の処理に関する手続き」の規定がなくなった代わりに、「株主資本等変動計算書」という書類の作成が義務付けられています。

配当や役員賞与など、今まで「利益処分案」として株主総会で決議していた事項が、会社法ではそれぞれ別々の手続きにされているからです。

また、これまで配当は期末と中間の年2回しか行うことができませんでしたが、会社法で年に何回でも総会を開いて行うことができるようになりました。それだけ株主の持分が変わりやすくなるので、その変動状況がわかる書類、つまり「株主資本等変動計算書」を作成することになったわけです。

株式譲渡制限会社とは

新会社法では、取締役が1人いればいい株式譲渡制限会社が設立できます。

株式譲渡制限会社とは、会社にとって好ましくない者が株主となることを防ぐために、定款に「当会社の株式の譲渡については、取締役会の承認を受けることを要する」ことを定めた会社です。

現在、ほとんどの中小企業の定款には、この規定が入っています。新会社法では、すべての種類の株式について譲渡制限規定を設けている会社のことを「株式譲渡制限会社」といいます。

新会社法では、大会社以外の株式譲渡制限会社は次のルールに基づいて機関設計することになります。

(1)取締役会(取締役3名以上必要)を置くか置かないかを選択できる
(2)取締役会を置かない会社は、取締役1名以上でよく監査役をおく必要もない
(3)取締役会を置く会社は、監査役か会計参与等を置かなければならない

最もシンプルな機関設計としては、株式会社設立時に取締役1人からスタートして、会社の成長に合わせて必要に応じて取締役増員(取締役会の設置)、監査役、会計参与、会計監査人、または委員会を設置していくという方法です。

注記表

従来、貸借対照表または損益計算書の注記事項として規定されていました。

会社法では、注記事項が大幅に見直され「関連当事者との取引に関する注記」などが新たに追加され、貸借対照表などの注記も含めて注記表として整理されています。

ただし、注記事項をまとめて一覧表示することは義務付けられておらず、貸借対照表または損益計算書などの脚注として記載することも可能です。

また注記表は、証券取引法では作成を求められていないので、会社法による計算書類にのみ作成が必要です。

有限会社が廃止される

「新会社法」施行前に設立されている有限会社は、有限会社という言葉を商号につかうことが認められます。
そのまま有限会社として存続するか、株式会社へ移行するのか、どちらかを選択することになります。

(1)有限会社として存続する場合
取締役等の任期がない、といった有限会社に認められている特典を失いたくなければ、有限会社でありつづけるのも選択の一つです。
また、商号変更となるので、看板や名刺、製品カタログなどを作り直すコストが発生しますし・・・

(2)株式会社へ組織変更する場合
株式会社の「最低資本金制度(1000万円)」も撤廃される予定ですので、資本金300万円のままで株式会社へ移行することも可能です。
ただし、「取締役(監査役)の任期がない」という有限会社の特典は失われるので、取締役は任期が来れば、任期満了後に、改選→登記手続きが必要です。

※新会社法では、取締役(監査役)の任期は最長10年と定められます。

擬似外国会社

擬似外国会社とは、本来日本に本店機能があるにもかかわらず海外の会社の日本営業所として登記された会社を言います。

当初は日本営業所だけで事業を行なうが将来、海外においても事業を開始す予定があれば、問題なく登記可能です。

会社法施行に合わせて法務省民事局長より全国の法務局宛に発行された「会社法の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて」という通達文書を要約すると記載されています。

『現在は日本においてのみ事業活動を行っているが,将来は,他の国における事業活動をも予定している場合は、擬似外国会社に当たらない。』

よって、将来米国でビジネスを行おうとしている人にとっては、従来通り、日本営業所の設置が可能です。
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